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イタリアに行けない理由と‥行かない理由。 [趣味はワインで仕事もワイン...]

いつまで経っても、渡伊することがない理由はふたつ。

行けない理由。

ただの言い訳にしか過ぎないが、やはり家族経営の小さな街の酒屋では、仕事とはいえ10日間などという連休が取り辛いのが実情。バブル崩壊まで、いや崩壊後数年と比較すれば実店舗は閑古鳥と表現してもいいほど暇になったわけだし、休めないわけではない。実店舗の代わりに忙しくなったネットショップではあるが、ネットの方は融通が効く‥いや、休まずともモチベーションが保てなければ、平気で丸一ヶ月休業状態な放置プレーでも成り立っているわけだから問題はない。

それなりの肉体労働な仕事ゆえ、実店舗を抜けるのは勇気がいる。確かに、まだ父親は元気だし第一線だ。でも、この数年、はやり年老いた印象もあるかな‥。10日やそこら、自分が居なくてもヤッていけるはずだけれども、そろそろ心配になってきた‥のも理由。ならば、数年前に行っておけばよかった‥のは後悔。

一昨年から出店させていただいている阪急百貨店のイタリア展。実質、丸ごと一週間実店舗の仕事を抜けているわけだから不可能ではい‥のは救い。ただ、イタリア展ならば、万が一の際は実店舗に帰ってなんとでもなるんだけれども‥。

いづれにせよ、いつかはスタッフを雇い入れて運営していかなければならな。いや、もうその時期が来ているのも理解しているんだけれども…。スタッフを雇い入れるべき理由はもうひとつ‥家族経営がゆえの甘え。スタッフをも養わなければならなくなれば、モチベーション云々など言ってられなくなるのだが‥。

行かない理由。

何のために行くのか?を考える。イタリアで観光をして、いくつかワイナリーを巡る‥ブログやサイトで写真付きで報告‥。訪問したワイナリーの商品を、生産者の素顔や、イタリアの現地の文化とともに、思い入れたっぷりに紹介する。

それが目的じゃないな。

何のために行くか?残念ながら、お客様に伝えるための経験を積みに行くわけではない。きっと観光はしないだろうし、ワイナリーも巡ると表現するほど観て来ないだろう。たった数時間の訪問で、ひととおりの案内と試飲をしただけ‥なんて上っ面の経験はどっちでもいい。

イタリアで何がしたいのか?と問われれば、生産者の仕事や日常を体験したい‥のが本音。だから、特定の生産者に居候させてもらいたい‥のが希望。できれば収穫を手伝って、発酵も手伝って、樽に詰められるまでを見届けたいと思う。(となると最低一ヶ月は行きたいんだけれども‥)小売店が嫌なわけじゃないが、いつか生産者になるのが夢、いや生産者とまでは言わなくとも、畑を借り、醸造設備を間借りして自分のワインを造ってみたい‥という願望があるもんだから、ちょっとでもその気分を味わいたいのかも知れぬ。現状、小売店としては、いわゆるバレルセレクション‥つまり熟成中の樽を選別し、樽ごと買い付けするのも夢でもある。

じゃぁ行けば?となるよね普通‥。

行かない理由。

カブれて帰って来るのがコワイんだな。イタリアがもっと好きになって帰ってくるのはいいんだけれども‥。イタリアを経験して帰ってきた輩に、あまりいい印象がない。ことあるごとに「(君たちは本当のイタリアを知らないね)イタリアでは‥‥‥」を口癖にする、そんな態度があからさまな業界人を何人見て来たことか。

数年前に、イタリアからの生産者を交えてのワイン会を企画した。参加希望のお客様も多く、比較的客席の多いイタリア料理店を貸し切ることになった。あくまでもイタリア料理店だが、そのお店は本格的な石釜で焼くピッツァが名物。お料理も、その生産者のワインに合わせていただくように配慮して頂いていたし、もちろん名物のピッツァもコースに組み込まれている。

その旨、来日される生産者を日本の輸入元に紹介している現地在住の日本人サプライヤーに伝えたところ‥「イタリアではピッツァにワインは合わせません。ピッツァをメニューから外して欲しい」だって。彼は、イタリア在住歴も長く、イタリアでの生活、文化、習慣が身に染み付いているとはいえ、私からすれば"完全なイタリアかぶれ"に他ならなかった。イタリアの本来の文化や習慣を伝える…度を超した一例。日本ではピッツァにワインを合わせても何ら問題はないし。まさか合わないとは思わない。ピッツァに合わせるワインを選ぶなんて楽しいし、それが合えばさらに美味しいのにね。

少なくとも生産者が自身の作品であるワインを輸出しようと思うのであれば、輸出先の文化や習慣が自分のそれとは違ったとしても容認すべきだし、その違う文化や習慣の中で、自身の作品をどう楽しんで美味しく飲んでもらうかを考えるべきである。ほとんどの生産者はワイン造りはプロフェッショナルであっても、マーケティングには疎い。だから、マーケティングに長けた現地のサプライヤーに日本の輸入元を斡旋してもらうわけだ。そのサプライヤーが輸出先の文化や習慣を否定するのであれば、とてもじゃないが、こちらからそんなワインを飲むことや、扱うことは願い下げ…だよな。

残念ながら、日本の消費者の文化や習慣は生産者に理解されていない。生産者どころか、それを輸出する現地の輸出業者(サプライヤー)や、日本の輸入業者も、自身があたかも生産者のような顔をして(しかも上から目線で)消費者に接しているのが日本のワイン市場の現状。輸出業者の客は輸入業者であり、輸入業者の客は小売業者や飲食店であるので、最終的な消費者との接点が少ないから消費者への理解度は低い。生産者の作品を日本市場に紹介し、消費者に知らしめる役割を担うのは重要だが、日本の消費者の消費スタイル、文化、習慣を生産者にフィードバックさせるという役割を担えている業者は皆無といっていい。

そのためには、最も消費者に近い我々小売業者が、少なくとも輸入業者に、消費者の実情などの情報を伝える必要があるが、残念ながら、消費者からの情報が生産者にまで行き届いていないのが現状がもどかしい。

ちょっと脱線した感もあるが、あくまでも仕事絡みでの渡伊。生産者の気持ちに、イタリアという国に肩入れし過ぎてカブれて帰ってくる=消費者が見えていな小売業者に落ちぶれるのがコワイ。でも、それくらい魅力のある国であるのがイタリア。この場合、捕らぬ狸の皮算用ということわざが適切かどうかはわからないが‥カブれてくるかも?も、つまらない思い込み、皮算用ならばいいんだけどね。


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minazou

A型なので(?)自分のことのように分かる心理状態なのです。

かぶれたくないとおもっているなら、それでいんじゃないスカね?

もっと、ナチュラルでいいんでないですか。
マジメなA型気質が、「結果」を自分に課すんですね。

なんもない、ということが現代って難しげなんスネ。

一般ピープルに混じってワインツアーとかにいって、
参加している人たちを上から目線で見ないとか、如何ですか(笑)

応援してます!
by minazou (2008-02-17 21:53) 

sangiovese

>minazouさん

:一般ピープルに混じってワインツアーとかにいって、
:参加している人たちを上から目線で見ないとか、如何ですか(笑)

あえて‥「見ない」というプレイなのね‥笑

まぁ‥応援してくれ‥。
by sangiovese (2008-02-18 07:53) 

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